西部劇を見ていると馬が気になる|撮影中、馬は何を感じているんだろう?

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西部劇を見ていると、私は物語を追いながら、いつの間にか馬ばかり見ています。

主人公が何を話しているのかも、もちろん気になる。

でも、それと同じくらい、画面の端にいる馬の耳がくるっと動いたり、騎手が手綱を持ち直したりする瞬間が気になってしまうんです。

銃声が聞こえる場面では、

「この音、馬は平気なのかな?」

大勢の人や馬が動く場面では、

「撮影の前に、どんな練習をしているんだろう?」

俳優を乗せたまま静かに待っている馬を見ると、

「カメラの外には、いつものスタッフさんがいるのかな?」

そんなことを考え始めます。

今日は、西部劇の物語ではなく、その世界を一緒につくっている「馬」のほうを見てみたいと思います。

撮影現場を実際に見たわけではありませんので、画面に映る様子だけで馬の気持ちを決めつけることはできません。

それでも、馬のしぐさを見ながら、撮影の向こう側にいる馬と人について一緒に想像してみませんか。

西部劇を見ると、つい馬を目で追ってしまう

広い荒野を何頭もの馬が駆けていく場面。

酒場の前につながれ、静かに立っている馬。

ゆったり歩いていたと思ったら、騎手の小さな合図で速度を変える馬。

西部劇には、馬がいなければ成り立たない場面がたくさんあります。

でも、馬は背景の一部ではありません。

一頭一頭に耳があり、目があり、そのときの呼吸があって、自分の周りで起きていることを感じながら立っています。

私はウエスタン乗馬を知るようになってから、映画の見え方も少し変わりました。

以前なら「かっこいい騎乗シーン」として見ていた場面でも、今は馬の首の高さや耳の向き、騎手の手の位置に目がいきます。

手綱が緩んでいるように見えても、馬はどの合図を受け取っているんだろう。

走り終えた直後、馬の呼吸はどうなっているんだろう。

同じ場面を何度も撮るなら、その間に休む時間はあるのかな。

気になるところが増えすぎて、ストーリーを巻き戻すこともありますw

撮影中の馬は、本当に何も気にしていないの?

西部劇の馬は、カメラや照明、大勢のスタッフ、衣装、車両、風を起こす機械など、普段の馬場とは違うものに囲まれているはずです。

それなのに、画面の中では落ち着いているように見えることがあります。

「撮影に慣れている馬だから、何も気にしていないのかな?」

と思ってしまいますが、たぶん「気にしていない」と「慣れて対応できる」は、少し違うことなのだと思います。

Merck Veterinary Manualでは、馬が刺激に繰り返し接することで反応が少しずつ弱くなる学習を「馴化(じゅんか)」と説明しています。

たとえば、道路の近くで暮らす馬が、最初は車に反応していても、危険がない経験を重ねるうちに反応が小さくなることがあります。

ただし、ある音に慣れたからといって、別の音にもすべて平気になるわけではありません。刺激が強すぎれば、慣れるどころか、かえって恐怖が強くなる場合もあります。

つまり、撮影に出る馬が落ち着いて見える背景には、

  • その馬に合った役割を選ぶこと
  • 少しずつ環境や音に慣れる練習
  • 信頼している馬担当のスタッフやトレーナーの存在
  • 馬が対応できる範囲で撮影すること

など、画面には映らない準備があるのかもしれません。

大きな音がする場面は、どうやって撮っているんだろう

西部劇といえば、銃声や爆発音のある場面もあります。

馬は音や周囲の変化に敏感な動物です。

ですので、馬の近くで本当に大きな音を出して、その反応をそのまま撮影しているのだとしたら、心配になりますよね。

American Humane Societyが公開している現在の撮影ガイドラインでは、撮影に参加する馬は、大勢の人、密集した隊形、銃声などの環境で行動できるよう、事前に適切な訓練を受けることが求められています。

また、撮影で馬を扱う経験のある専門スタッフ(アニマルハンドラー)を配置すること、馬の近くで使う火薬量や距離に配慮すること、銃を馬へ向けないことなど、細かな安全基準も設けられています。

実際に西部劇『American Outlaws』の撮影記録を見ると、銃声を小さくするために火薬量を減らし、馬の耳を保護し、爆発場面では馬との距離を取って撮影していたことが紹介されています。

映像の中では爆発がすぐ近くにあるように見えても、実際には馬を離れた場所で撮影し、グリーンスクリーンや編集を使って近くに見せた場面もあったそうです。

これを知ると、映画の画面だけでは分からないことが本当にたくさんあると感じます。

ただし、こうした基準は現在のAmerican Humane Societyが関わる撮影についてのものです。すべての国、すべての作品、過去に制作された映画が同じ条件だったとは限りません。

古い西部劇を見るときには、制作された時代によって動物への考え方や安全基準が違っていた可能性も、心の片隅に置いておきたいと思います。

撮影中の馬を見るとき、私が気になるところ

画面だけで馬の気持ちを正確に知ることはできません。

それでも私は、次のようなところをつい見てしまいます。

耳はどこを向いている?

馬の耳が前を向いているのか、騎手のほうへ片耳を向けているのか、それとも画面の外へくるっと動いたのか。

耳を見ると、その馬がどこへ注意を向けているのかを考える手がかりになります。

カメラの外へ耳を向けているなら、そこに馬を担当するスタッフの声や別の馬の気配があるのかな……と想像することもあります。

ただ、「耳が後ろだから怒っている」というように、耳だけで気持ちを決めることはできません。

耳の動きについては「馬の耳の向きでわかる気持ち|伏せる・絞る・後ろ向きの意味」でも詳しく紹介しています。

耳だけでなく、目や口元、鼻の動きも一緒に見たい方は「馬の表情が語る感情と信頼のサイン」もあわせてご覧ください。

首や背中に力が入っていない?

首を高くして体を固くしているのか。

それとも、首や背中が柔らかく動いているのか。

走る場面では迫力に目を奪われますが、走り出す直前から止まったあとの体の変化まで見ると、その一連の動きがさらに面白くなります。

馬が走り出すときの体の使い方については「馬が本気で走り出す瞬間はいつ?―ゲート発走と“初動”から学ぶ」にも書いています。

騎手の手はどんなふうに動いている?

馬だけでなく、乗っている人の手や体も見ます。

大きく動いて合図を出しているのか。

ほとんど分からないほど小さな動きなのか。

映画では俳優本人が乗っている場面もあれば、難しい場面を経験豊富なスタントライダーやトレーナーが担当する場合もあります。

人が変われば、馬が受け取る体重や手綱の感触も少し変わるはずです。

それでも同じ役の馬として自然につながって見えるのですから、馬と人、そして撮影する側の準備ってすごいですよね。

走り終わったあとの様子は?

映像では、走り終えた場面からすぐ次の場面へ切り替わります。

でも実際の馬には、そのあとの呼吸があり、汗があり、休息が必要です。

American Humane Societyの撮影記録には、複数のスタント馬を交代させ、疲労が偏らないようにした例も紹介されています。

画面に映る数分の後ろ側に、休ませる人、水を用意する人、馬の状態を確認する人がいる。

そう想像すると、馬を支えている人たちの存在まで気になってきます。

カメラの外にいる人を想像すると、見え方が変わる

馬が画面の中で静かに立っているとき。

その少し外側には、馬がよく知っている担当スタッフがいるのかもしれません。

走り出す合図を送る人。

馬が戻ってきたときに受け取る人。

足元の状態を確認する人。

鞍や頭絡を整える人。

馬の耳や呼吸を見て、「今日はここまで」と判断する人もいるかもしれません。

映画の中では、俳優と馬だけが荒野に立っているように見えます。

でも、その場面ができあがるまでには、馬のことを知っている人たちの仕事がある。

そう考えながら見ると、何気なく歩いている一場面にも、今までとは違う奥行きが生まれる気がします。

馬を見たくて、西部劇を見る夜もある

西部劇の魅力は、決闘や冒険だけではありません。

朝の光の中で馬に鞍を置く場面。

何頭もの馬がゆっくり町へ入ってくる場面。

騎手が馬の首へ手を置く、ほんの短い場面。

ストーリーとは直接関係のない一瞬に、その馬らしさを感じることがあります。

私は、そんな一瞬を見つけるために西部劇を見ているところもあるのかもしれません。

WOWOWでは、西部劇や西部を舞台にした映画が放送・配信されることがあります。

ただし、作品は時期によって入れ替わります。公式サイトに作品ページがあっても、現在の放送・配信予定がない場合がありますので、見たい作品がある方は加入前に最新のラインナップを確認してください。

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見たい映画を探すときは、作品名だけでなく「西部劇」「ウエスタン」「カウボーイ」などの言葉でも検索すると見つけやすくなります。

まとめ|物語の向こう側にいる馬を見てみる

西部劇に登場する馬が、撮影中に何を感じているのか。

本当のところは、その馬と、そばにいる人にしか分からないのだと思います。

画面に映る耳や目、首の動きだけを見て、「安心している」「怖がっている」と決めることもできません。

でも、

耳は何を聞いているんだろう。

この動きの前に、どんな練習をしたんだろう。

カメラの外には、誰がいるんだろう。

そうやって想像してみることはできます。

映画の中では、馬は人を運び、荒野を走り、ときには静かに待ちながら、ひとつの世界を支えています。

次に西部劇を見るときは、物語の少し横にいる馬の耳や表情も見てみてください。

今まで気づかなかった、小さな動きが見つかるかもしれません♪

参考資料・参考サイト

この記事を作成するにあたり、以下の資料・サイトを参考にしました。

この記事を書いた人

馬が持つ魅力にどっぷりはまってしまった人です。ウエスタンライディングを中心に乗馬を楽しみながら、馬に関するイベントのお手伝いやホースケアについての学びを続けています。
分からないことは専門機関や一次情報を調べ、自分の経験と調べた情報を分けながら、馬好きの目線で発信しています。